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内分泌代謝内科コラム



原発性アルドステロン症

記載日:2020.9
須藤英訓(内分泌代謝内科・糖尿病内科)


 原発性アルドステロン症とは、副腎から分泌されるアルドステロンというホルモンが過剰に分泌されることで生じる疾患です。アルドステロンは、副腎(腎臓の上にある小さな三角形の臓器)から分泌される物質で、健常状態では体液量の低下を感知して腎臓から分泌されるレニンを介して塩分を体内に保持し、血圧を維持させる働きがあります。

 自覚症状として現れることは少ないですが、アルドステロンが過剰状態になると血圧が上昇して、高血圧を発症します。手足のむくみ、頻尿といった症状を自覚することもあります。また血液中のミネラルのバランスが崩れ、低カリウム血症を生じ、重度の場合は筋力低下や悪心・嘔吐、便秘などの消化器症状が現れることがあります。アルドステロンは全身の臓器や血管に作用して動脈硬化を促進させるため、未治療の場合は心臓病や脳卒中、腎臓病のなどの別の病気も引き起こします。

 この疾患は、高血圧患者の5-10%程度に隠れているとされており、特異的な症状がなく疑わなければ発見が難しい病気です。診断のきっかけとしては、健診や人間ドックなどで偶発的に副腎の腫れを指摘されることでみつかることが多いです。原発性アルドステロン症は副腎腫瘍に合併することが知られていますが、副腎の腫れを認めなくても本疾患が隠れている場合もあるため注意が必要です。特にご家族に高血圧や血管疾患が多い方、肥満や生活習慣病がないにも関わらず若い時から高血圧を指摘されている方、何種類もの血圧の薬を飲んでいてもなかなか血圧のコントロールがつかない方などは、積極的に診断・検査することをお勧めします。